【 それも人生らしいじゃないか。 】  

山田 えみる

 創作に携わる者なら誰もが経験があると思うが、とんでもない作品に出逢ったときに、まさにこれは運命だと、周りが見えなくなるほどのめり込んでしまうことがある。
 それは必ずしも作品の出来不出来に因るものではなく、自分が置かれている状況・心境と、作品の熱量とが共鳴したときに起こるものだ。
 その体験はときに悔しさを呼び起こすが、次の創作への熱源となってこころに灯り続ける。わたしはそんな体験から十五年経ったいまでも、小説を書き続けている。
 そういった経験は、社会で生きていく上で必要ではないかもしれない。むしろまともな社会生活を阻害するものかもしれない。実際、わたしも夢にうかされて、まともな社会生活ができないときがあった。この主人公も多かれ少なかれそうだろう。
 でも。
 わたしは、この作品に、この作品の主人公の気持ちに、共感できて嬉しく思う。息苦しい砂漠に仲間を見つけた嬉しさ――と書くと、かっこつけ過ぎなのかもしれないけど。

公開日時:2018-05-09

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