【 誰の上にもあるもの 】  

三津凛

「彼」という人称からすっかりと騙された。淡々と移ろいゆく季節と、空色の描写が続いて行く。どこか哀愁を帯びているようで、どこか突き放した趣もある雰囲気と文体だ。なんとなく、終盤に向かうにつれてその憂鬱で哀しげな雰囲気の理由が分かるのだが、最後の最後で視点がひっくり返る返るのがいい。なぜ空を見上げ続けるのか、どうしてそこに空があるのか……喪服の連なる人波の中でも、「彼」は空を見上げ続ける。
そして、空は誰の上にも変わらずにそこにあったのだ。

公開日時:2018-04-10

この書評にいいねを送る: 3

コメント一覧

コメント数:1件