【 染色 】 神谷 龍ニ 2017-12-10


 才能とは脆いものである。
 ピアノだけではなく、音楽という芸術ジャンルで見ても、同じ曲なのに異なる演奏者が演奏すると、まったく違う曲に聞こえる、というのはだれもが体験することがあるだろう。
 それが『色』というものだと私は思う。
 実力がある程度のレベルに達してしまえばあとは『色』の勝負。これは芸術全般に言えることだ。
 この作品を読んで『色』が塗り替えられるということがどれだけ大きなことなのか、というものを突き付けられた。突き付けられたと書いたが、胸ぐらを掴まれ、「読め」というようなものじゃない。
「君ならわかるよね」と諭すように心に侵入してくる。
 その時点で私も一種の色に染められてしまったのかもしれない。
 もちろん、この話は『男と女』という視点で見ても美しいものがある。
 これだけのものが詰め込まれた作品。
 これを書き終えた今、猛烈にピアノの曲を聴きたくなった。
 この話を読んで、ピアノの曲が聞きたくなったのは私だけではないと信じている。
 芸術的な小説であった。

この書評にいいねを送る: 7

コメント数:1件

Dc288193 48f4 492c af9f 5a8cb44c6ad120171209182206

汐 穹臣 2ヶ月前
ありがたい書評、感謝致します。芸術的と言って頂けて大変光栄です!